あまつち

ジオと神話の物語へようこそ。

鉄と炭酸がやさしい、にごりの温泉。

極楽温泉 匠の宿

鉄と炭酸がやさしい、
にごりの温泉。
極楽温泉 匠の宿

もやっと萌色に濁ったお湯が、刳り貫かれた巨石の中で湯気を立てる。舐めてみると、錆びたような、鉄の味がする。皮膚を炭酸の細かい気泡が掬いあげていく。高千穂峰の往復で冷えて疲れた身体が芯からあたたまる。眠ってしまいそうになる。

HHB_3210

HHB_3214

極楽温泉は高原町の高千穂峰の麓の扇状地にある。祓川集落も歩ける距離だ。もともとは湯治湯として長期逗留する宿として始まった。含鉄泉の湯は、リューマチや神経痛、血流、胃腸の改善に効果があり、炭酸成分は切り傷の治癒を早める効果があるという。
源泉は1 8度ほどの冷泉であり、沸かしている。沸かす際に、鉄分が空気と混ざって酸化し、黄色くにごったお湯ができあがるという。これだけ鉄分が多い湯は九州でも少なく、「にごり湯100選」にも選ばれている。

HHB_3223

極楽温泉付近の地名は血捨ノ木や赤池と呼ばれており、近辺を流れる湯の元川の水は沸かすと赤く濁るという。御池方向から流れてくる鉄分を含んだ地下水脈が通っているからであり、血捨ノ木という地名に、神武天皇が生まれて産湯に使った場所という伝承がある。

DSC03257_JALAN_130719_02

極楽温泉の代表・竹井一起さんは大の料理好きで、中学生の頃から厨房に入って料理をつくっていたという。「せっかく、山の隠れ家のような場所まで来られるわけですから、海の魚は出さず、山の魚や山菜をだしています。九州山河料理と名づけています」と竹井さんはいう。

DSC03288_JALAN_130719_02

宿で出されるコイコクは、湯之元川の清流を引いて育てたコイを使っており。臭みが全くなく、柔らかく美味しい。
湯之元川にはウナギがたくさん棲んでいて、竹井さんはウナギを採りに野に出かけるのがとても楽しいという。獲ったばかりのウナギは宿で山河料理として出される。

HHB_3185

HHB_3088

HHB_3202

HHB_3186

高千穂峰のビューポイントである御池や、のんびりとした田舎の風情が味わえる高原は、霧島東神社や神楽などの歴史文化も加えて、霧島連山の中でぜひ訪れてほしいスポットだと竹井さんはいう。

隠れ家のようなにごり湯の温泉に、行き届いたおもてなし。しっとりとした時間を味わうにはぴったりの温泉だ。


極楽温泉 匠の湯
■ 所在地  〒889-4414 宮崎県西諸県郡高原町大字蒲牟田7449
■ TEL  0984-42-3326 【フリーダイヤル 0120-37-5909(ゴクラク)】
■ FAX  0984-42-3780
■ U R L   http://gokuraku-onsen.com

■ 営業時間 平日     午前6時~午前10時
午後3時~午後10時 (露天風呂あり)
土・日・祝日 午前6時~午後10時 (露天風呂あり)
■ 定休日  水曜日


text by 滝澤恭平

Map

© 2014 Amatsuchi