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巣ノ浦天神神事と田の神さぁ巡り 其の一

巣ノ浦天神神事と田の神さぁ巡り

巣ノ浦天神神事と田の神さぁ巡り 其の一

春の暖かい風が心地よく感じ始めた4 月上旬。
私の地元である宮崎県小林市、西小林地区に残存する13 体の田の神さぁ案内をしてくださるとのこと。
自分たちで見つけ出す楽しみも田の神さぁ巡りの醍醐味ではあるが、ここは一つ、にっこばまちづくり協議会・伝統文化部会の部会長である松元良一さんに案内をお願いすることにしました。

松元さんは午前中、用事があるということで田の神さぁ巡りはその後に。
午前中何の予定もない私達に、もしかしたらこちらにも興味があるかもと、その用事とやらにお誘いいただきました。

到着すると、目の前には霧島。
その麓、夷守岳が見下ろした先に一つの神社がありました。
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すっと伸びた杉林の中にひっそりと、朱塗りの鳥居が深緑の中にその存在を表し、霧島の大地に根付く杉にしっかりと守られているかのような佇まい。手水舎もなく小さな祠が静かにそこにあり、古くから地元の方々に寄り添ってきた歴史ある神社なのだそうです。

名前は” 巣ノ浦天神”
学問の神様である菅原道真公を祀っているそうです。
実はこの巣ノ浦天神、山奥深い所にあるという理由から、明治6 年に小林市郊外にある梅の天神菅原神社に遷座したそうです。その後も地元の皆様に愛され続けている巣ノ浦天神。

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元日の年明けには、40 ~ 50 人もの人が初詣に訪れ、地元の人の手によって設置された杉のベンチに座り、火を囲んで飲ん方が行われているそうです。ベンチからなにから社の周りに生えている杉のみで作られてるみたいです。
朝方には、小さな神殿を背に鳥居前を真っ直ぐに伸びる参道の延長線上に初日の出が顔を出すそうで、それがまた何とも言い表せない見事な景色なのだそう。その瞬間を見ないと一年が始まらないとのこと。

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この日は、その巣ノ浦天神の社取り付けにあたって、付近に生えている杉を伐採するための神事が行われました。
神主さんをお呼びし、5.6 人の地元の方々が参列。
ひっそりと行われた地元の方々のみの神事。
滞りなく進められ、初めて訪れる天神様を前に恐縮しつつも、有難いことに私達も玉串を納めさせていただきました。

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「天神の杉 すくすくと、伸びゆく力 我にあり」

この地区にある西小林小学校の校歌にも登場する天神の杉。
その杉を使用してこうして天神様は、また次の世代へと姿新たに引き継がれていくのです。
地元の人に見守られ、そして地元の方々を見守り続ける天神様と地域の人々との間に家族のような温もりを感じ、何だか晴れやかな気持ちになった一日の始まりでした。

・・・つづく

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text by 堀 舞

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