あまつち

ジオと神話の物語へようこそ。

巣ノ浦天神神事と田の神さぁ巡り 其の二

田の神さぁと一言で言っても様々。 しゃもじ片手に微笑む田の神や、そこらの石と間違えそうになる姿カタチのもの。 お地蔵様に似たものであったりと、巡る度、独創性溢れる姿かたち一体一体に、心踊らされました。

巣ノ浦天神神事と田の神さぁ巡り 其の二

http://amatuchi.jp/geolife/1528/(其の一はこちら)

清々しい一日の始まりを感じた後は、引き続き松元さんと、そしてもう一人、北きりしま移住支援センター みき*ハウス 代表の中里みきさんと田の神さぁ巡りです。

田の神さぁ巡りに関しての資料としては、西小林まちづくり協議会発行2014年カレンダー6月号のページと、小林市教育委員会所蔵の田の神さぁ資料の2点。
小林市教育委員会発行の田の神さぁ資料には、所在地、地図、由来等様々な情報が記載されています。
中里さんが事前に用意していただいたそれらの資料を元にいよいよ出発です。

田の神さぁと一言で言っても様々。
しゃもじ片手に微笑む田の神や、そこらの石と間違えそうになる姿カタチのもの。
お地蔵様に似たものであったりと、巡る度、独創性溢れる姿かたち一体一体に、心踊らされました。

0472_02

途中、松元さんはとても貴重なものを私達に見せたいと寄り道をしてくれました。小林市北西方にある勧請岡公園。そこには国指定天然記念物であるエヒメアヤメが小さく可愛らしく咲いていました。

小林市は、エヒメアヤメ自生南限地帯として指定されています。
実際に天然記念物に指定されている生駒高原のエヒメアヤメは自生地保護の為公開されておらず、こうして間近で見ることができるのは唯一、勧請岡公園なのだそうです。

4485

草丈15~30cmの小柄で美しい薄紫の花を咲かせるエヒメアヤメ。
もともと寒冷な気候を好む大陸系の植物ですが、朝鮮半島と日本が陸続きであった頃に分布したものであると考えられており、日本列島がユーラシア大陸とつながっていたことを証明する植物だそうです。見ごろは3月下旬から4月上旬。私達が鑑賞した時期は見ごろをとっくに過ぎていましたが、いくつかのエヒメアヤメが出遅れた鑑賞者たちを喜ばせてくれていました。

0489

正午を回り、お昼休憩の際にお二人の活動について伺いました。

お二人が活動するにっこば(西小林)まちづくり協議会とは、地元の方々から西小林地区の住民一体となって取り組む「きずな協働体」なのだそうです。昨年6月に設立されたばかりで、防災や福祉、環境等に重点を置き、松元さんはその中に設立されている伝統文化部会の部会長を任命。
中里さんは事務員として活動中。
今日持参した資料である西小林まちづくり協議会発行の2014年カレンダーも活動の一つだそうで、西小林地区一世帯につき一部ずつ無料で配布されたのだそうです。カレンダーには、西小林の歴史ある写真や伝統文化、名産物など、西小林に馴染のあるモノや風景等がカレンダーと共に紹介されていました。今後は、希望者に販売する形で毎年作成していく予定のようです。

5292s

また、郷土舞踊である兵児踊りを継承していこうと「巣の浦の兵児踊り 嬉(き)ばっみろ会(宮崎弁で頑張れるだけ頑張ろう!!の意味)」の会長もされている松元さん。
天正時代から継承されている兵児踊りを次世代に継承しなければ廃れていくだけ。と、地域の皆で活動を続けているそうです。
(兵児踊りの由来としてはいくつかの説があるようですが、小林市に伝わる兵児踊りの起源としては、天正年間、島津氏と伊藤氏との戦いにおいて、島津氏が、薩摩武士の武術集団訓練の場にて士気を鼓舞するため、陣中にて各種の戦法を取り入れ、躍らせたホラ貝や太鼓を打ち鳴らして躍らせたという説が有力だそうです。)
郷土舞踊の継承が会設立のきっかけではあるそうですが、本来の目的としては地域の皆が同じ気持ちを持ち、定期的に集まって練習して踊っては飲ん方をする。その最後の飲ん方によってまた更に絆が深まっていく。と、嬉ばっみろ会に対する正直な気持ちを語ってくれました。

0491_02

中里さんはというと、農家民泊がきっかけで約二年ほど前にこの西小林に移住してきたそうで、現在では自身も短期滞在の受け入れや移住支援活動を行っているとのこと。そんな中里さんの行動力は西小林の方々の活力でもあり、高齢化の進むこの地域に新しい風を運んできてくれたと、松元さんはおっしゃっていました。

お腹もいっぱいになり、様々な角度から西小林の魅力を知る事ができた私達は、田の神さぁ巡りを再開。
西小林に現存する13体の田の神全てを取材する事が出来ました。

0439_02

今回の田の神さぁ巡りにおいては、いくつかの田の神さぁがこの地域に精通している人であってもなかなか見つけ出せないような場所にありました。本来は資料を頼りに自分達だけで田の神さぁ巡りをする予定だった為、快く案内してくださった松元さんと中里さんには心から感謝。

そんなお二人が活動するにっこばまちづくり協議会。
西小林地区の住民が主体となって自らの手でまちづくりを行おうとする取り組みは、過疎化が深刻化する現状とは裏腹にエネルギーに満ち溢れていて、我が故郷ながら私の知らない新しいにっこばの姿でした。

これからのにっこばの取り組みを楽しみに、
霧島の麓に流れるゆるやかな時間と心地良い風が既に恋しい堀舞でした…

0443_02

注:田の神さぁは、私有地にある場合や、私有地や田畑付近を通る場合もございます。
もし行かれる際は、仮に農閑期でも田畑に入らないよう、配慮の程よろしくお願い致します。

text by 堀 舞

Map

© 2014 Amatsuchi